tamorinrin’s blog

読んだ本の感想

楽天IR戦記 市川祐子

筆者がNECから楽天に転職し、IRに関わっていく話。筆者の視点から実務が分かり面白く分かりやすい。大企業とベンチャーでのやり方の違いや考え方の違いなど示唆に富んだ著書だった。

・広報とIRの違いについて、広報の目的の代表的なものが企業イメージの向上であるのに対して、「IRは株をかってもらうこと」が日々の目標であり、究極の目的は資金調達であると考えている。

・自社の企業価値を議論できる日本の会社が少ないと投資家に言われた。

・短期間で多数の投資家に投資判断を行わせるディールでは、価値を証明するトラックレコードがより重視される。平時の中長期のスパンのIRには、価値を創るストーリーが重要になる。

・深い分析を行う投資家は、本源的価値と株価との差を分析することでまだ評価されていない会社を早くから発見し、高い投資リターンを得ることができる。企業にとっても世界中の企業を分析している彼らとは、高い見識を持って深い議論を交わすことができ、真の株主として尊敬できる関係を構築できる。

・資本にコストがあるとは?銀行借り入れの場合は利息。株主には利息や返済などの一切の保証がない。そこにあるのは配当や株価上昇への「期待」だけです。株主が最低限期待するリターン、それが株主の資本コストになります。2012年に行われた調査では、国内機関投資家が求める期待リターンは6%超、海外投資家は7%超。

・にほんでゃ資本コストを意識したことがないという企業は約600社のうち6割。