tamorinrin’s blog

読んだ本の感想

孫子の兵法がわかる本 守屋洋

孫子という兵法書は、今から二千五百年ほど前、孫武という将軍によってまとめられた。昭和の将帥たちも、孫子を読まなかったわけではないらいしが、活用することを怠ったのが大方。好んで、兵を語る将軍にろくな人物はいない。名将はみな軍事行動に慎重な態度をとっている。

将軍は智、信、仁、勇、厳の五条件を満たす人物でなければならない。

弱者が生き残りをはかるには、相手の意表をつくような技を研究しなければならない。

指導者として戦いに勝つための条件は、的確な判断力、兵力に応じた戦い、共通の目標を持った組織、万全な体制、将軍の有能さの5つである。戦争の仕方は、寄正の運用(定石と応用の組み合わせ)と勢いに乗ること。

用兵にたけた将軍は、敵が動かざるを得ない態勢をつくり、有利なエサをばらまいて食いつかせる。

人のやらないことをやれば「労少なくして功多し。」

理論は海図のようなもので、人生の航路には書くことができない。海図のない航海は。失敗ばっかり余儀なくされる。では、海図さえあれば安全かというとそういうわけではない。それにプラスの経験の裏付けがあってはじめて安全な航海が保障される。理論と経験は車の両輪。

日本人は個人としては脆いが、集団での行動に強みを発揮してきた。組織への帰属意識もすこぶる高い。こういう中では、さほど強い統率力を必要としない。こういう環境では名リーダーが生まれづらい。

将帥を心から慕っている部下でなければものの役に立たない。また、将帥を恐れている部下でなければ、手足のように動かすことは出来ない。部下に命令を従わざるのは恩情であり、将帥の地位を確立するのは威信である。

作戦の要諦は、なによりもまず迅速を旨とする。